「宍戸式三極管イントラ反転方式」 それがウェーバックオーディオラボのパワーアンプの心臓部です。

「宍戸式イントラ反転」とは、当社の吉澤保夫博士が故宍戸先生との師弟関係となることで生まれ世に送り出しました。その背景とはどのようなものだったのでしょうか。

「宍戸式イントラ反転(IITC)」とは何か

イントラ反転方式は、故宍戸先生が考案された真空管アンプのAクラストランスドライブ方式の一つです。
送信管は、従来Cクラスでの使用が多く、オーディオの世界でも、高電圧小電流ドライブにより使用されていました。
技術的にも難しく不安定で、メンテナンスも大変です。また、高電圧小電流ドライブは音も硬くパワーも小さく細るといわれています。それに比べイントラ反転は低電圧大電流方式で大出力化が可能ということが出来ます。
そして音も十分に太くて繊細というリアルな音像が得られる貴重な方式です。

近年、冷戦の終結と共にそれまでストックされていた送信管が放出され、面白い真空管が出回るようになりました。宍戸先生はそのうち801に着目されドライブ方法の研究により、旧型の大型送信管の動作法に新境地を開かれたわけです。

さて、オーディオ用のアンプは、今過半のアンプが半導体アンプと言って過言ではありません。

しかし、「音が悪い!!」

これは、衆目の一致するところで、これによりオーディオ離れが進み、オーディオ不況とも言われる状態でもあろうと思います。こうした中で、宍戸式イントラ反転ドライブ方式は、唯一音が良いといわれる300B、2A3と言った直熱三極管シングルアンプの欠点である出力不足を解消する絶妙な発明で、音も素晴らしいと評価され、慧眼と謂われる方式です。宍戸式直熱三極管シングルアンプの大出力化がもたらしたのは、低能率のB&Wを頂点とする現代スピーカーを楽々と鳴らしきり、自由な選択をもたらした点です。

「故宍戸先生」と「吉澤博士」の師弟関係

私が宍戸先生と師弟関係となり、それまで805による50Wアンプが直熱三極管シングルアンプの最高出力でしたが、833による100Wを設計したことが忘れられない思い出です。
さて、最初の頃私の設計したのが、EC-4304です。先生がMJ誌に掲載されていた808を参考に、種々試作し宍戸式の優秀さに舌を巻き、お電話を差し上げたのがきっかけで、ご自宅に参上するようになりました。
いろいろな、設計上のご助言をいただき、EC-4304をデザインしました。それまでの真空管アンプに欠けていたデザイン性を取り入れ、アルミブロックから切り出す新手法を考案し、試作しました。また、ソケット等もテフロンから削りだし、リン青銅に金メッキしたピンを新しく設計しました。ケースのアルミブロック化は、思わぬメリットが多々ありました。まず、トランスの鳴きによる真空管のモジュレーションの減少、シールド効果による雑音の低減などです。
また、ガラスキャノピーの使用がデザイン上も特異な効果がありますが、放熱の点でもガラスチムニー効果により空冷による自然対流が大きく寄与します。
4304はRCA800と同等の規格でITTが作った綺麗な直熱三極管で、ガラスの色も見事です。また、ペアで購入できるので左右の特性も合いやすく、素敵なイントラ反転方式アンプに仕上がりました。このEC-4304イントラ反転方式直熱三極管シングルアンプが最初にグッドデザインをいただきました。

「宍戸式イントラ反転」の当社取得に関して

イントラ反転方式は、当時宍戸先生が実用新案を出願されていました。しかし、特許庁の係官とオフィシャルアクションでトラブルがあり、拒絶査定状態でした。
そこで、詳細を鈴栄内外国特許事務所より調査していただき、問題点を把握しましたところ、錯誤によるトラブルと判明しました。内容と文言で争う場合すれ違う場合も多々あることは、良く知られたことです。
そこで、小生が宍戸先生の出願を買い取らせていただき、改めて実用新案から特許に変更し再出願いたしました。問題点を変更してあるため、そのまま受理公開になり特許が成立しました。
その後、現在の(有)タックリサーチに所有権を譲渡し、イントラ反転方式の直熱三極管シングルアンプを作ることにしたのです。